研究テーマ[大学院学部共通]

大学院(メディアデザイン領域)
学部(主:情報デザインコース、副:情報システムコース、知能システムコース、複雑系コース)
研究テーマは4つあります。

1. AIリテラシーを育成するための教材開発

対象領域・コース

メディアデザイン領域
大学院カリキュラム概要

情報デザインコース、情報システムコース、知能システムコース、複雑系コース
学部カリキュラム概要

キーワード

AIリテラシー、生成型AI、教材開発、批判的思考、メタ認知、学習プロセス、学習スタイル、学習方略、自己調整学習

概要

2022年11月に生成型AIのひとつであるChatGPTが登場したことで、私たちは歴史上の転換期にいるといってよいでしょう。AI技術は急速に生活や仕事に入ってきています。この状況は、情報技術に関わる人だけでなく、子どもから大人まですべての人に、現在も、そして将来的にも大きな影響を及ぼします。経済的格差、教育格差はますます広がっていくことでしょう。それらの格差をなくし、公正な社会を実現するためには、開発者のみならず、AIを正しく使いこなす人を育成することは急務です。

そこで本研究では、AI技術やアプリケーションをツールとして活用するための一連の知識やスキルである「AIリテラシー」を育成する教材を開発します。AIがもたらす影響を考慮して意思決定できるようになる人を育成することを目指します。

対象とする学習者は、中学生、高校生、大学生、職業人、市民のいずれも選択可能です。教材の開発にあたっては、教育工学、認知心理学の知見を活かして行なっていきます。テーマ例としては、以下のものが考えられます。ただしこれだけに限るわけではありません。

  • AIリテラシー学習支援システムの設計
  • AIリテラシー学習教材のコンテンツ開発
  • AIリテラシー学習におけるクリティカルシンキングの育成
  • AIリテラシー学習におけるELSI統合PBLの開発と評価

本テーマに参加するメリットは以下の通りです。
メリット1:教材を開発するために、自分自身もAIリテラシーを身につけることができる。
メリット2:世界的にも注目されている、まだ新しい領域の研究なので、起業したい人、社会に貢献したい人、学校や企業で教育に携わりたい人には、その動向を知ることができる。
メリット3:教材開発にあたっては、学習理論を学びつつ、それを応用していくので、学習効果の高いものを開発でき、大学院進学予定者は特に学会発表の機会が多い。

このテーマは、本研究室では2024年度に初めて登場する、世の中でもまだあまりないホットなトピックです。AI+教育+学習理論という領域にチャレンジしたい人を募集します。

参考図書

参考URL

aiEDU JAPAN

2. 学習理論をもとにした学習環境デザイン研究

対象領域・コース

メディアデザイン領域
大学院カリキュラム概要

情報デザインコース、情報システムコース、知能システムコース、複雑系コース
学部カリキュラム概要

キーワード

学び合い、メタ認知、学習プロセス、学習スタイル、学習方略、学習目標分類、自己調整学習、人工知能

概要

新しいテクノロジーの出現で、生活や仕事、遊び、学習の形態は、常に変化しています。イノベーションが常に進んでいる中で、学習者にとってグローバル社会、デジタル社会に対応していくスキルを身につける必要が出てきています。

この変化に対応した教育方法、学習方法に取り組むことで、学習者が問題解決、コラボレーション、コミュニケーションといった先進的で柔軟なスキルを習得し、仕事の上でも生活の上でも成長し続けるための環境をデザインする必要があります。そこで本研究では、「学習理論とその応用」という視点から、学習環境をデザインします。学習理論の変遷から最新の学習理論を調査し、学びの環境デザインへの具体的応用を考えます。

対象とする学習者は、幼稚園、小学生、中学生、高校生、大学生、職業人、市民、高齢者のいずれも選択可能です。テーマ例としては、以下のものが考えられます。ただしこれだけに限るわけではありません。

  • 思考プロセスの階層化と学習目標分類
  • リテラシー科目における学習目標分類
  • 学習スタイルと学習方略を利用した実践支援
  • 市民参加型ワークショップの学習支援
  • 幼児教育におけるデザイン思考学習支援

卒研テーマ「学習理論をもとにした学習環境デザイン」に参加するメリットは以下の通りです。
メリット1:メタ学習を学ぶことで、仕事でも生活でも、生涯活用できるスキルを獲得できる。
メリット2:学習科学という新規分野について実践研究できることから、大学院進学予定者は特に学会発表の機会が多い。

2022年
  • 若者の政治参加意欲を促す学習環境デザイン
  • 高校生の社会情動的スキルの態度を育成する学習環境デザイン
2019年
  • 教育目標分類学を適用した学習意欲向上のためのシステムの提案
2018年
  • 小学校教員を対象としたComputational thinking学習システムの開発
  • 安全意識向上を支援するシステムの開発
  • ARCSモデルを適用したPISA型読解力向上のためのeラーニングシステムの提案
2016年
  • 学習方略を支援するe ラーニングシステムの開発
  • 大学におけるキャリア教育の支援システムの提案
  • コミュニティ参与者の学習支援システムの開発

参考図書

参考URL

IDポータル

3. 料理を通した学習環境デザイン研究

対象領域・コース

メディアデザイン領域
大学院カリキュラム概要

情報デザインコース、情報システムコース、知能システムコース、複雑系コース
学部カリキュラム概要

キーワード

調理の熟達化、熟達化支援、メタ認知、リフレクション、レシピ、食育、人工知能、Chef Watson、foodways(食文化)

概要

料理という行為、おいしくなるという理由は、科学とはとても深い関係がります。英語では、Kitchen Chemistry(台所の化学)という言葉もあるように、料理は化学反応の宝庫です。最近では、分子ガストロノミー(Molecular Gastronomy)(ガストロノミーは、美食学と訳すこともある)という分野も出てきました。調理する過程で食材の変化の仕組みを科学的に分析、解明し、調理技術に応用しようとするものです。これまで職人技と思われていたこと、経験的な方法を解明し、さらにそこに新しい技術を応用して、新しい調理法や、メニューがでてくる可能性があります。近年急速に普及しているネット上でのレシピサイトの近未来を考え、人工知能を利用したレシピの自動生成などのテーマも扱います。

調理が上手くなるとはどういうことなのでしょうか。上手な人と下手な人の何が違うのか。料理が上手くなる、すなわち熟達化のためには、どんな知識、技能が必要なのでしょうか。そのためにはどんな支援が必要でしょうか。そこで使われる道具、行われる活動など、理想的だと思われる学習環境を実際にデザインしながら、それらが学習環境として有効に機能しているかどうかを、実践しながら、検証し、その結果をふまえて改良していくのがデザイン手法です。デザインして実践して、またそれを活かしてデザインします。

卒業研究は、文献購読、行動調査、支援システムの設計、ユーザビリティ評価などの活動を含みます。実際のデザイン、調査場所として、函館市内、大学内のほか、調理専門学校などを考えています。

2015年
  • 調理熟達支援システムのための視線移動に基づくデザイン原則の抽出
  • 段取りに着目した調理熟達化支援方法の提案
2013年
  • 学習スタイル別の料理の学習支援ソフトウェアの提案
  • 情報系大学生の食育支援に関する一考察
2007年
  • 手書きメモを利用した調理熟達化支援システムの提案
  • 一人暮らしの食卓を豊かにするためのコミュニケーションシステム「MINGO」の提案
  • しゃれぢえと 食事記録を利用した食生活改善支援システム
2005年
  • 調理熟達化を支援する足場かけツールの設計と評価 -セルフ・モニタリング促進による状況的行為としての段取りの学習-

参考図書

参考記事

4. モノづくりを通した学習環境のデザイン研究

対象領域・コース

メディアデザイン領域
大学院カリキュラム概要

情報デザインコース、情報システムコース、知能システムコース、複雑系コース
学部カリキュラム概要

キーワード

モノづくり、Fab環境、STEAM教育、21世紀型スキル、デザイン思考、人工知能、科学イベント

概要

近年、Fab環境が整備、普及してきたこともあり、モノづくりを通した学習が注目されています。ここでいう「モノ」は、模型やロボットのような有形のものだけでなく、イベントや仕組み・制度など、無形の活動であってもかまいません。モノづくりを通した学習から、コミュニケーション力やチームワーク、創造的な思考など、21世紀を生きていく上ですべての人に必要であると言われている能力が培われていくのです。

モノづくりを通した学びのプロセスには、「かく(外化)」「つくる(具現化)」「みいだす(概念化)」の3段階があります。モノづくりを通した学びの本質は、モノをつくってきた過程を振り返り、そこから原理や法則をみいだし、他の場面でも適用できるような概念化にあります。通常モノづくりを通した学習では、試行錯誤を重ねながら作り上げるところまで、あるいは振り返るところまでが強調されている場合が多いようです。しかし、ここでは、振り返りからさらに原理や法則、なぜうまくいったのか、なぜうまくいかなかったのか、必要なことは何であるのか、今後どのように生かせるか、ということをみいだしていく段階まで、学びを深め、発展させることが重要です。この「みいだす」過程によって、その後、モノづくりを通した経験が汎用性のある考え方に変わり、新たな状況へ適用できるようになるのです。

これらを踏まえたうえで、モノづくりを通した学習環境をデザインします。

卒業研究は、文献購読、行動調査、支援システムの設計、ユーザビリティ評価などの活動を含みます。実際のデザイン、実践場所として、大学内、函館市内の小中学校や生涯学習施設などを考えています。

2020年
  • 共感から共創を生み出すカード型プラットフォームの開発
2019年
  • ものづくりを通した学習で言葉化を支援するシステムの提案
2018年
  • アイヌ文様自動生成システムの開発

参考図書

関連URL

https://noyuri.jp/